恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
「真奈ちゃん。時間、まだ大丈夫?」

ーー近い。

耳元で、低く落ちてくる声。

一瞬、思考が止まる。



私はガバッと顔を上げた。

そして、力強く頷く。



「本当に?」

一拍。

「……じゃあ、俺んち来る?」

その一言で、全部決まる。

もう、迷いなんてなかった。



こくん、ともう一度頷く。

「行く」

自分でも驚くくらい、即答だった。



その瞬間。

「っしゃ!」

空気が一気に変わる。

さっきまでの色気どこいった。

けいくんが、急に子どもみたいな顔で笑う。

「早く早く!」

抱きしめてた腕をそのまま引っ張られる。

「え、ちょっ……」

気づけばもう車のドアの前。

「乗って乗って!」

「はやいはやい!」

さっきまでの余韻、全部どっか行った。

でもーー

めちゃくちゃ楽しい。

車が走り出す。

さっきと違うのは、私の左手がけいくんの右手に包まれているところ。

それだけで、なんか全部が特別になる。

地下駐車場に着いた瞬間。

「着いた!」

エンジンを止めるより早くドアを開ける勢い。

「早く早く!」

「待ってって!」

手を引かれて、そのまま小走り。

いやこれ絶対ヒール無理なんだけど。

「けいくん待って!」

「走って走って!」

六歳歳上の女、全力疾走。

………何これ。

楽しすぎるんだけど!
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