親友の御曹司が溺愛彼氏になった一夜
でも、分かっている。

私は既に悠真の中に落ちていることも。

「佐伯さん。嬉しいです、佐伯さんの気持ち」

そしてぎゅっと手を握った。

「でも、急に言われてもまだ、自分の気持ちに整理がつかなくて」

「ですよね」

私は佐伯さんに、笑顔を見せた。

「時間を下さい。ちゃんと佐伯さんの事、考えたいんです」

「もちろんです。俺は逃げませんから」

佐伯さんと見つめ合った。

その時、悠真が立ち上がった。

「どこに行くの?」

「会計してくる」

「待って、私も出すから」

財布を取り出すと、悠真が私の手を抑えた。

「俺が払うから」

そう言って悠真は行ってしまった。

私はその姿を呆然と見送った。

「どうしました?白石さん」

「悠真。いつもは割り勘なのに」

いつもの悠真じゃない。そんな感じがした。
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