親友の御曹司が溺愛彼氏になった一夜
「嬉しかったの。ずっとずっと……悠真の事好きだったから」

大学時代、友人に言われた事があった。

―― 悠真君。御曹司なんでしょ。 ――

―― そうみたいだね。 ――

私はそんなの関係なかった。

悠真が悠真でいてくれれば、それでよかった。

―― 好きになっても無駄だよ、美桜。 ――

私は友人の方を振り返った。

―― 御曹司って、いづれ取引先のお嬢さんと結婚するから、いくら好きになっても、実らないよ。 ――

―― そんなのは、悠真が決める事じゃん ――

悠真の人生を勝手に決めている友人に、怒りがこみ上げた。

私は友人に背中を向けて、歩き始めた。

思えばあの時から、悠真を好きだったのかもしれない。

「悠真……」

どうして悠真の事をこんなにも好きなのに。

こんなにも胸が痛くなるのだろう。
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