親友の御曹司が溺愛彼氏になった一夜
「知っています」

その時、安西さんの目から涙が零れたのを見てしまった。

「でも神崎さんって、どの彼女にも本気にならないじゃないですか」

「あ、いや……」

悠真、どもってどうするのよ。

「だったら、私にもチャンスありますよね」

顔を上げて悠真を見つめる風香ちゃん。

何故か、数日前までの私の姿に似ているようで、胸が痛かった。

私も、もしかしたら。

風香ちゃんと同じ事、考えていたかもしれない。

「ごめん」

悠真ははっきりと断った。

「今の彼女、ずっと好きでやっと手に入れた人なんだ」

「神崎さん……」

「たぶん、今の彼女とは別れるつもりないから、安西さんの期待には応えられない」

そう言うと風香ちゃんは、泣きながらオフィスに戻って行った。

悠真はため息をつく。
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