三角屋根の下で君と
廊下から生徒の話し声が聞こえ、慌てて身を起こすと、唇が触れたであろう鼻先を指で触った

「ん?‥な‥何してんの?」

クスクスと何故か嬉しそうに笑う泱に
眉間に皺を寄せて胡桃は問いかけると、
背けていた顔を戻した泱が口角を上げて笑った

『‥‥おまじない‥かな』

「ん?‥はぁ?こっちが部活動で
 悩んでるのに変な事しないでよ。」

教室内に誰もいなかったことを確認して胡桃はホッと溜め息を溢すと、まだ笑っている泱の頭をチョップする

『胡桃』

「何よ‥」

『バレーボール部のマネージャー‥胡桃がやってよ。』

えっ!?

泱の少し甘えたその言い方は、昔から変わらない‥‥。

今でこそ180㎝近く背も伸びて、体格だって逞しくなったけれど、ふとした時に見せる子供のような表情は最近では滅多に見せなかったから久しぶりに見た

「やだよ‥‥凛に頼んだら?」

私の紙に勝手に記入しようとしていたのでサッと用紙を抜き取る。

『凛があんな大男達に囲まれたら、危ないと思うんだけど‥』

「どういう意味よ‥私なら逞しいから安心ってこと?」

確かに凛は小さくてか弱い‥‥

胡桃と泱は空手とバレーボールをしていたせいか、体力だけは自信があるのに対して、凛は人見知りで引っ込み思案なところも多い

『誰でもいいわけじゃない。胡桃がいい‥‥。男バレに来たら男に囲まれて生活出来るから
胡桃にはいいチャンスだと思うよ?』

囲まれる‥‥‥?

確かに‥目の矛先にはいつも男子がいる毎日‥‥かも

胡桃は、頭の中で様々なことを妄想しては考えていたが、やっぱり不安も多くすぐには頷けないでいた
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