三角屋根の下で君と
胡桃と泱の視線が真っ直ぐにぶつかり合い、何も話さない時間がどれくらい経っただろうか‥‥

今‥私の心の声が漏れて口に出してた?

それを泱が聞いていたのは分かる‥‥でも‥‥キス‥‥してみる?って泱と?‥‥私が?この漫画のようなキスを?

「‥こんな時まで優しくなくていいよ。いつか凄く大好きな人が出来て、そういう事ができる日が来るまで楽しみにとっておくんだから。」

好きな人と指先が触れるだけでもきっと
心臓の鼓動がうるさく音を立て、手を繋げは真似がキューっと締め付けられる

繋いだ手が気になって、ああ‥この人が
私の好きな人だなってそう思えた先に
キスをしてみたい‥‥

ファーストキスは人生で一度しかない‥

だから‥‥大切にしたい‥‥


『長期戦‥‥』

「ん?何か言った?」

『いや‥‥胡桃はロマンチストだな』

「ウワッ!!重いってば!!」

寝転ぶ胡桃にもたれかかる泱の重さは、
当たり前だが小さい時とは全く違うものになっている

昔はよくこうして戯れ(じゃれ)あって
いたときは重みすら感じなかったのに、
シャツ越しに分かる逞しい体付きに、胡桃は一瞬ドキッとしてしまった

泱はもう男の人なんだって‥‥

そして、泱も彼女が出来、凛も彼氏が出来てしまったら、きっとここにはもう来る事がなくなるかもしれないと思うと、
急に寂しくなり、この安心する重みも忘れないでいたいとさえ思えた


『部活動のこと本気だからちゃんと考え
 てくれたら嬉しい‥』

「‥‥‥やろうかな‥マネージャー」

『は?ほんとに!?』

「うん‥」

漫画本を奪われてあからさまに喜ぶ表情で私を真上から見下ろす泱に、さっきまでは彼氏が欲しいからという横島な考えだったが、泱の成長を間近に見たいという気持ちが勝ったのだ
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