醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 エリシア胸が詰まり、言葉が続かない。

 婚約は、確かに破棄された。

 それは十年も前の事だ。

 エリシアは視線をずらし、パトリスの斜め後ろに控える黒衣の男を見る。

「ブレイク様は、どう思われますか?」

 問いかけると、男は一瞬だけ、静かな琥珀色の瞳をこちらに向けた。

 その刹那、まるで値踏みされているような感覚が肌を撫でる。
 エリシアは恐怖で震え上がった。

「エリシア、他の男に話しかけないでくれ。さすがに妬ける」
 苛立ちを含んだ声で、パトリスが遮る。

「ブレイクとは初対面だろ? 彼はレイディン帝国で燻っていた平民だけど、優秀でね。僕の補佐官に任命したんだ」
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