醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「平民、ですか」
 思わず、笑みが零れた。

 それに呼応するように、ブレイクはごく僅かに首を振る。

 ブレイクの立ち居振る舞い、纏う空気。

 どう見ても、平民の出自ではない。
 ブレイク自身は身分を隠そうと粗野に振る舞っているつもりかもしれないが、品位は隠しきれていなかった。

 そして何より、時折覗く鋭い視線は誰かに仕えて満足する男のものではなかった。

「エリシア、会いたかった。本当に⋯⋯君は相変わらず、髪の毛先まで美しい」
 また始まった、とエリシアは内心で溜息をつく。

「君が聖女であろうとなかろうと、僕にとっては世界一価値のある女だ」

 砂を吐きそうな口説き文句。
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