醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 愛おしそうな声音とは裏腹に、エリシアの背筋を冷たいものが走った。
(寒気がする)

 あれから、十年。
 十三歳だった美少年は、今や誰もが見惚れる麗しい王太子へと成長している。

 整った顔立ち、王族としての威厳。
 だが、エリシアの胸は微塵も高鳴らなかった。

 以前のように、ときめくことはない。
 それどころか何事もなかったかのように接してくるその態度が、ひどく気味が悪い。

「私を、どうするおつもりですか?」
 できるだけ感情を込めずに尋ねる。

「もちろん、予定通りだよ。僕は君と結婚する。まずは神殿がうるさいからね。君の聖女の力を測定しないと」
「予定通りって⋯⋯」
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