醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 その変化を、エリシアは焚き火のそばから眺めていた。

 島での生活は、厳しい。
 だが、不思議と恐怖はなかった。

 セドリックは毎朝、夜明け前に起き、
 周囲を巡回し、罠を確認し火を起こす。

 無言で、淡々と。

 その背中は、帝国の皇子というより、
 戦場に生きる兵士そのものだった。

 エリシアは、身体の回復と共にできることを増やしていく。

 薬草を見分け、水場を整えた。
 聖女の力が徐々に戻ると共にエリシアの体は少しずつだが軽くなっていた。

「疲れてないか?」
 ある夜、焚き火の前でセドリックが言った。
 火の揺らめきが、彼の銀髪を赤く染める。

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