醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「疲れてなんてないわよ。もう、この生活にも慣れたわ。貴方とこのままここで一生暮らせるくらいに」
 エリシアは正直に答えた。
 その言葉に、セドリックは何も返さなかった。

 ただ、焚き火に薪を足す。
 火が一段、強く燃え上がった。

 数日が過ぎる。

 エリシアの体力は完全に戻り、夜の悪夢も少しずつ減っていった。
 それでも時折、手首を掴まれた感覚や人々の冷たい視線が蘇る。

 そんな夜は呼吸が浅くなり、無意識に身体が強張る。
 そのたびに、セドリックは何も言わず少し距離を詰めて座った。

 セドリックは触れないが、離れない。
 それだけで、エリシアの呼吸は整った。

(おかしいわね)
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