醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 帝国の皇族の証である銀髪にも、身分にも気づかない幸運。

「良かったわ。貴方の正体に気が付かれなくて」
 エリシアは、小さく息を吐く。

「気が付かれてたら、あの漁師を殺す必要があった。死の運命を逃れた。幸運な男だ」
 セドリックは、何の躊躇もなく言った。
 その言葉にエリシアは小さく身震いする。

「なあ、聖女エリシア。お前の言う復讐って、そういう報復じゃないのか?」
「⋯⋯そういう復讐をするつもりよ」
 セドリックの挑発するような声にエリシアが返す。

「聖女をやめて、悪女になる覚悟ができたと思ったが⋯⋯結局、感謝もしない民を身を削って治療する慈悲深い聖女のままか?」
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