醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「違うわ。私は慈悲深く何かない。ただ聖女の義務を果たしただけ。民たちを愛してないし、感謝されようなんて期待もしてない」
 エリシアは、顔を顰める。

「行動がまだまだ聖女だ。復讐なんて本当にする気があるのか?」
「あるわよ。早く、王宮に戻りましょ。裏切り者たちの断末魔を今すぐにでも、聞きたいの」
 セドリックは、短くなった彼女の髪をくしゃりと掴んだ。

 レジル地方の民たちは口々に頭を下げ、カーラは必死にエリシアへ非礼を詫びた。
 涙を浮かべる者、声を震わせる者、地面に額を擦りつける者もいる。

 エリシアの必死の治癒に対しての感謝ではない。

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