醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 今更ながら、自分たちの聖女に対する非礼を顧みて怖くなったのだ。
 エリシアが腰が低く、吹けば飛ぶような女性だから油断して横柄に振る舞った。

 それは国で一番敬われるべき聖女に対しては、とんでもない非礼で罰せられてもおかしくはない。

 王都にエリシアが帰る日になって、急に報復を恐れ謝罪を始めた。

 だが、エリシアはただ静かに首を振るだけだった。

「もう、いいです」

 その声には、怒りも悲しみも残っていない。
 ただ、何も感じていないだけだった。

 エリシアにとって、彼らはすでに「どうでもいい」存在になっていた。
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