醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 かつてなら、胸を熱くした言葉。

 ――今は、何も感じない。

 エリシアが迎えられたのは魔獣の森が浄化され、神殿に信託があったかららしい。

 謎の皮膚病が消え去ったのも、聖女の力によるものだろう。
 ほどなくして、一行は神殿へ到着した。

 聖堂の床に刻まれた魔法陣が、白く、静かに輝いている。
 炎のような派手さはないが、抗いようのない神聖さだけが空間を満たしていた。

「始めます」
 神官の声を合図に詠唱が始まり、エリシアはその中央でそっと目を閉じた。
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