醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 追い出して、見捨てた挙句、十年孤独に過ごした娘に謝罪もできない父親と罪悪感を持ってるポーズだけする弟はエリシアにとってどちらも不要だ。
(こんな人たちを家族だと思ってたなんてね)

「産んで育ててやったのに、何様のつもりだ」
 マルケルが腕を振り上げるのが見え、エリシアはギュッと目を瞑る。

「聖女様ですよ。侯爵閣下。エリシア様はこの国で最も敬われるべき女性です。ちなみに、侯爵閣下は男性に見えますが、聖女様をお産みに?」
 ブレイクがクルーシー侯爵の手首を握りながら言った言葉にエリシアは思わず吹き出す。

「たかだか補佐官が陛下に気に入られているからと言って偉そうに」
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