醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 今のラリサの気持ちを思うだけで胸が痛くなる。

 パトリスは罪な男で、その時に自分に必要な女には優しい。
 だから、長い婚約期間ラリサはきっと彼を愛しただろう。

 突然ハシゴを外されたように、冷たく突き放される痛みをエリシアは誰より知っていた。

 ♢♢♢

 王宮の舞踏会場、その重厚な扉の前。

 エリシアはパトリスとの入場を拒み、一人王宮の舞踏会会場の前で佇んでいた。
 聖女としては今日の舞踏会の出席は必須だが、気が進まない。


「エリシア様、お一人でご入場されるのですか?」
 柔らかく、しかしよく通る声に呼び止められエリシアは振り向いた。

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