醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 優雅に一歩踏み出し、再び彼女をダンスの流れへと戻す。
 周囲には、完璧なエスコートにしか見えなかっただろう。

「王太子の婚約者になったから、私に手を出せなかったと言いたいのですか?」
「はい。貴女は、手の届かない高嶺の花でした」
 リオネルの甘い声音にエリシアは嫌な気持ちになった。

(私を利用しようとしている? 孤独で寂しい女を操るなんて簡単と思われている?)

 リオネルは美しく、その自覚もある。
 そして、孤独な女を見抜く賢さも持っている。

 リオネルは今、宰相職についていて、それはアイリスの父親から受け継いだ職だ。
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