醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 息がかかるほど近い距離にエリシアは嫌悪感を覚える。

「パトリス王太子、離れてください」
 小さく言っても、彼は微笑んだまま。

「昔は、君の方からこうして近づいてきた事もあったのにね」
 耳元で囁かれ、心臓が跳ねる。
 その声は甘く、懐かしさを装っている。

「エリシア。君は本当に変わってしまった」
「私だって、変わりたくて変わったんじゃありません」
 エリシアは視線を逸らさず、低く返した。

 パトリスの良いところだけを見て、彼を愛そうと思った。
 いつも自分に自信があるところは見方を変えれば魅力的。

 他人には冷たいが、婚約している間はエリシアを溺愛して来た。

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