醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「存在してはならないものです。聖女様の力で魔獣は消え去り、この世界は正しい姿に戻りました」

 エリシアの中で、何かが静かに折れた。
 魔獣は、彼女を必要としなかった。

 利用もせず、ただ共に生きてくれた。

 けれど、人は違う。

「エリシア」
 パトリスが近づいてくる。

「君がいてくれて良かった。王国にとって、これ以上ない救いだ。王国は長期に渡り魔獣の脅威に晒されて来たからね」
 救いという言葉に、心は動かない。
(人が私を必要とする時は⋯⋯利用する時だけ)

 理解した瞬間、胸に広がったのは怒りではなかった。
 深い虚しさと、静かな諦観。

< 15 / 234 >

この作品をシェア

pagetop