醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「そうですか。ならば、私は聖女として、相応しく振る舞いましょう」
 エリシアは、微かに微笑んだ。

 それは、かつての無垢な少女の笑みではない。

 補佐官として様子を見つめていたブレイクの瞳が、わずかに細められる。

「エリシア。再来月、僕の戴冠式がある。同時に結婚式を挙げる予定だ。もちろん、君と僕のお披露目の場になる」
 まるで当然のように、他の女とあったはずの未来を差し出す男。

 エリシアは、静かに溜息をついた。
 そして、とても穏やかな声で、こう尋ねた。

「ちなみに、誰と結婚するおつもりだったのですか?」

「意地悪なことを言うんだな」
 パトリスは苦笑まじりにそう返した。

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