醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
(急にどういうつもり? 私に愛を与えるとでも言いたいの? ハニートラップ?)

 エリシアはブレイクに企みがあると理解しながらも、彼の温もりのある口付けに溺れた。
 その口付けに込められた確かな体温に、エリシアは抗えなかった。

 溺れるように、身を委ねてしまう。
 その光景を、影から見つめる男がいることを彼女は、まだ知らない。

 ♢♢♢


 時は遡ること十三年前。

 リオネル・モンドは、胸の奥が落ち着かず、何度も小さく息を吐いていた。

 初恋の相手、エリシア・クルーシーとの婚約話が現実味を帯びて進み始めていたからだ。

 彼が彼女を初めて見たのは、九歳の時。
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