醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 確かに、エリシアは王妃に向いていないかもしれない。
 聖女のように優しいだけでは、王宮では生き残れない。

 時には冷酷に、人を利用する強かさが必要だ。
「リオネル、期待させてすまなかったな」
「いえ、別に」
 父親には、リオネルの想いは見抜かれていた。

 落ち込んでいるのを悟られ、彼は無言で視線を落とす。

「アイリス嬢など、どうだ?」
「はい。私は、家の利益になる相手となら、誰とでも結婚します」
 リオネルは即答した。

 アイリスは、自分に見惚れている令嬢の一人。
 彼女の父は宰相で、悪くない縁談だ。

 感情を切り離すことは得意だった。

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