醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 次期宰相と目されるほどの俊英。
 誰がどう考えても、予定通りだったのは、ラリサ・モンドとの結婚の方だ。

 それを当時十歳のパトリスの我儘で拒絶しエリシアと無理に婚約した経緯がある。

「でしたら、予定通りラリサ嬢と結婚なさってください。私はもう、パトリス王太子の愛を必要としておりません」
 エリシアは静かに告げる。

 その言葉に、パトリスの表情が一変した。
 ぐっと距離を詰められる。
(キス、される!?)

 咄嗟に身を引こうとした、その瞬間。
 二人の間に、影が差し込んだ。

「パトリス王太子殿下。神官の前です。お控えください」
 低く、よく通る声。
 ブレイクだった。

< 18 / 234 >

この作品をシェア

pagetop