醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「そうだな」
 パトリスは、驚くほどあっさりと引き下がる。
「後で部屋に行くよ、エリシア」

 その様子を見て、エリシアの胸に、言いようのない違和感が広がった。
(おかしいわ)

 パトリス自身は気づいていないのだろう。
 だが、二人の関係はすでに主従ではない。

 過剰な信頼を得たことで、ブレイクは補佐官という立場から完全に彼を“操る側”に回っている。

 じっと見つめていたことに気づいたのか、ブレイクが一瞬だけエリシアを見る。

 射抜くような、何もかも見透かそうとしてくるような琥珀色の瞳。
 エリシアは、そっと視線を逸らした。
(ブレイクに、どんな企みがあろうと私には関係ないわ)

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