醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 それなのに、今、目の前にいる男は開けたドレスに包まれた彼女が恐怖に震える姿を見て、まるで自分のことのように涙を流している。

 その不器用なまでの真剣さが、胸に刺さる。
「リオネル、ありがとう。私は大丈夫よ」

 気づけば、慰めるような声が自然と口をついていた。

 リオネルは一瞬、驚いたように目を見開き、すぐに視線を伏せた。

「リオネル・モンド。お前、裏切ったのか? こんなことをして、タダで済むと思うなよ。これは反逆だ!」
 兵に引きずられながら、パトリスが振り返る。

 その瞳には、怒りと困惑、そして歪んだ執着が混じっていた。
 その声を聞き、エリシアの背筋がぞくりと震える。

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