醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 胸の奥で、名前を訂正する。

「臨時裁判に向かいましょう。私の証言も、必要になるでしょうから」
 エリシアはゆっくりと立ち上がり、着崩れたドレスを整える。
 指先はまだ震えているが、視線は真っ直ぐだった。

 その姿を見て、リオネルは言葉を失ったように唇を噛む。
 守られるべき聖女でありながら、誰よりも毅然と立つ姿。

「強いですね、エリシア様は⋯⋯。貴女を守れる男になりたかった。けれど私なんて必要なさそうだ」
 リオネルは掠れた声で呟く。

 夜明け前の王宮で、歴史が終わり新しい罪と真実が暴かれようとしていた。
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