醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 だが今、その背中は僅かに丸まり、かつての尊大さは影を潜めている。

 それでもなお、彼のブルーサファイアの瞳には自分が裁かれる存在だという自覚はなかった。

 高壇に立つのは、国際裁判所から派遣された裁判官。

 白と金の法衣が床を引き、足音一つ立てずに歩み出る。

「これより、緊急臨時裁判を開廷する」

 静かな声だった。
 だが、その一言でノイダン王国の命運が決定づけられる。

「被告、パトリス・ノイダン。罪状は、聖女エリシア・クルーシーに対する聖女冒涜、強制接触未遂、および国際法違反」
 言葉が、石床に落ちるように重く響く。

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