醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 傍聴席には、王族、貴族、神官や、明日の戴冠式に出席する予定だった各国の使節。

 エリシアは緊急にしては揃い過ぎた面子を見て、明日の戴冠式に国賓が集まるタイミングで王家の滅亡を仕掛けたのはブレイクだと確信した。

(パトリスを現行犯で捕まえる為に私を襲わせたのも貴方なのね)
 エリシアはぎゅっと左手首のブレスレットを抑え、胸の痛みに堪える。

 誰もが息を潜め、歴史の転換点を目に焼き付けていた。

「馬鹿馬鹿しい」
 パトリスが低く笑った。

「聖女だろう? 癒しと慈悲を司る存在だ。愛を与えられたら、婚前だろうと受け入れるのも役目じゃないか」
 その瞬間、法廷の空気が凍りついた。

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