醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「被告人、発言を慎みなさい」
 裁判官の声は鋼のように冷たい。

「それでは証人を呼ぶ。聖女エリシア・クルーシー」
 エリシアは一歩、前に出た。

 無数の視線が突き刺さる。
 期待、恐怖、猜疑、そして畏怖。
 エリシアの証言により、一国が滅びようとしている。

「宣誓を」
 差し出された聖印に、エリシアは手を置く。

「私は、真実のみを語ります」
 声は震えていなかった。

「事件当夜、被告パトリス・ノイダンは、私の意思を無視し、婚姻前の関係を強要しました」
 エリシアの証言に、ざわりと空気が揺れる。

「拒否の意思は、明確に示しましたか?」
「何度も。言葉で、態度で、明確に⋯⋯」
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