醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 法廷中の視線が、ゆっくりとエリシアに集まる。

 聖女の発言は王命よりも重い。

「全てを、話してください。ラリサ・モンド。貴女の愚かな企みも、その醜い心の内も全てです」
 エリシアは静かに告げた。

 その声は細いが、不思議なほど法廷の隅々まで届く。
 一拍、間を置き、エリシアはっきりと続ける。

「司法取引は、絶対です。極刑には聖女エリシアの名においてさせないと誓います」

 聖女が聖女の名において誓う事に、ざわめきが走る。

 エリシア自身は、自分の言葉がどれほどの重みを持つかを、ほとんど理解していなかった。
 だが聖女とはそういう存在だ。

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