醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 一国の国王であろうと、帝国の皇帝であろうと、裁判官であろうとその名の下では頭を垂れるしかない。

「余裕ですね。やっぱり、エリシア様は狡い。本当に貴女が心底嫌いだわ」

 ラリサが、かすれた声で笑った。
 誰にも聞こえないと思ったのだろう。
 だが、その言葉は確かに、エリシアの胸を刺した。

 エリシアは、ラリサに嫌われている理由が分からず困惑する。

 エリシアはラリサに優しく接してきた。

 命令も、侮辱も、拒絶もした覚えはない。
 だが、ラリサの告白はエリシアに“理不尽な嫉妬”という感情を容赦なく突き付けた。

 裕福な侯爵家。
 恵まれた容姿。
 無自覚な善意。

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