醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 エリシアが誰に対しても善良である事は難しい事ではなかった。
 しかし、善良であり、誰にでも優しいことは誰からも好かれることとイコールではない。

(私、もう誰とも関わるのが、怖い)

 視線が、自然と左腕へ落ちる。

 琥珀の石が嵌め込まれた腕輪。

 柔らかな光を放つそれは、今や冷たく不気味に見えた。
(盗聴魔法が掛かってるわよね)

 これは、お守りでも同志の証でもない。
 ブレイクーーセドリック・レイディンは、ノイダン王国を血を流さずに手に入れるため自分を“聖女”として利用したのだ。
(もう、誰も、信じたくない。傷つくのが怖い。このまま、消えてしまいたい)

< 209 / 234 >

この作品をシェア

pagetop