醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 その洗練された圧倒的オーラに誰が見ても帝国の皇子だと分かる。

 補佐官ブレイクの面影は、そこにはなかった。

 エリシアは、思わず目を見開く。
 孤島で過ごした時間、銀髪の彼は自然体に見えた。
 でも、あの時ですら“皇族らしさ”を消していた。

(どれが、本当の貴方なの?)

「この国で起きた不始末については、すべて把握している」
 セドリックの低く威圧する声が響き、氷のような視線が被告席のパトリスを射抜く。

「久しぶりだな、パトリス・ノイダン。ところで、一番の罪人の出廷は、まだか?」

「も、申し訳ございません! 真夜中のため、ルナ王女殿下の取り調べは明日に⋯⋯」
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