醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 だが、あの日を境にすべてが変わった。原因不明の皮膚病が身体に現れ、鏡に映る自分の肌は次第に赤黒く腫れ、痛みと痒みが交互に襲う。
 その瞬間、自分が信じていた幻想のような日々は脆く崩れ去ったのだと気づいた。

「私は、このまま神殿に滞在します。クルーシー侯爵家と私はもう何の関わりもありません」
 声を震わせずに言い切るエリシアの決定に一瞬の静寂が訪れる。

「待ってくれ、エリシア!」
 静寂を破ったのは、焦りに満ちた声。
 パトリスの目は真剣で、少しばかり血色を失った顔が青ざめている。

「一刻も早く、会ってほしい人が王宮にいるんだ」
 ブレイクは呆れたように小さく首を振る。

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