醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
(会ってほしい? 一体、誰と?)
 その時。

 神殿の分厚い扉が、重厚な音を立ててゆっくりと開く。
 石壁に反響する音は、まるで地鳴りのように胸の奥に響いた。

 甲高く、震えるような声が廊下に響き渡る。
「聖女エリシア! 私の身体を治しなさい!」

 エリシアの視線の先に立っていたのは、かつての可愛らしい姿とは程遠い、赤黒く腫れ上がった肌、岩石のように歪んだ顔の女性。

 ――ルナ・ノイダン王女、パトリスの妹だ。

 淡い光に照らされた顔には、かつての麗しい微笑みの影はなく、痛みと絶望だけが刻まれていた。
 王女の眼差しは、どこか必死でそしてどこか悲痛に満ちている。

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