醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「それでは、ありがたく頂きます。聖女様の古い友人の想いと共に」
 自分を利用しながら、何事もなかったように微笑む男。


 エリシアは恐怖を感じるのにセドリックを前にすると、なぜか彼の思い通りにしてあげたいという感情が湧いてしまう。
(私、セドリックに惹かれていた? 九歳も年下の男に?)

 そんな思考を振り払うように視線を逸らした、その時。
 低く、媚びた声が割り込んだ。

「セドリック皇子殿下にマルケル・クルーシーがご挨拶申し上げます」
 エリシアの父が、恭しく頭を下げている。

「我が娘エリシアが、今後帝国のお世話になると聞きました。父親として、私も随行を致したく存じます」
< 223 / 234 >

この作品をシェア

pagetop