醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 エリシアはクリフの言葉にリオネルの姿を探す。
 彼は切なそうにエリシアを見つめている。

「魔獣の森はが、死にに行く場所です。姉上は、十年前、死にたいほど苦しかったのですか?」
 その言葉を聞いた瞬間、エリシアの中で、忘れていた記憶が蘇る。

 夜、寝る前に童話を読めば、登場人物に感情移入して直ぐに泣いてしまう弟。
 花を見つければ、「姉上、見て!」と小さな手で引っ張ってきた、あの頃。

 ――可愛くて、仕方がなかった。

 だからこそ、あの日投げつけられた「気持ち悪い」という言葉は深く突き刺さった。

 感受性が強く、優しすぎる弟。
< 225 / 234 >

この作品をシェア

pagetop