醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

20.策略のプロポーズ

エリシアは、すぐには答えなかった。
 窓の外では、朝の柔らかい日差しがまだらに屋敷の廊下を照らし、木々の影が床にゆらゆらと揺れている。

 風の音はかすかに枝を擦り、遠くで鳥が羽ばたく音が響いた。

 室内は静寂に包まれ、時計の秒針すら、ひそやかに鳴るように感じられる。
 その沈黙の中で、エリシアの胸は不意に重く、痛く、締め付けられるようだった。

 クリフのアクアマリンの瞳には、小さな涙が浮かんでいた。
 光を反射して揺れるそれは、昔と何も変わらない無垢な輝きを湛え、胸の奥を鋭く刺す。

 まるで、過去の自分自身の弱さや痛みが、目の前に再び投影されたような感覚だった。
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