醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 赤黒く腫れた肌の下に、微かに浮かぶ静脈が脈打つたび、痛みが声にならずに漏れてくるようだ。
 神殿の空気が一瞬にして張り詰め、静寂の中に微かな香炉の煙だけが漂う。

 薄暗い光が王女の歪んだ顔に影を落とし、壁の石の冷たさと混ざって寒気のような緊張が身体を包む。
 エリシアはその場に立ち尽くす。心臓が高鳴り呼吸がわずかに乱れる。

 視界の端でブレイクが小さく息をつき、口元に苦笑を浮かべるようにして目を逸らす。

 パトリスは気まずそうに目をそらし、手を軽く握りしめては何かを呑み込むように唇を噛んだ。
(私と同じ皮膚病? 違う! 周りが感染を恐れていない! これは黒魔術だわ)

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