醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「あー! だからって修道院送りはひどすぎません? 一生ここですよ?」

彼女の明るい声とは裏腹に、周囲の空気は冷え切っていた。
他の修道女たちが、露骨に嫌悪を込めた視線を向けてくる。

貞操を何よりも重んじる修道院において、姦通は最大級の罪だ。
ここで生涯を終えろという宣告は、ほとんど終身刑に等しい。

(守ってくれているのね)
わざと大声で騒ぎ、視線を自分に集めることでエリシアへの詮索を逸らそうとしている。
その心遣いに、胸が少しだけ温かくなる。

「それにしても、エリシア様こそ。十年の家出から帰られてどうして修道院に?」
その言葉に、エリシアはそっと目を閉じた。

(家出?)

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