醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 エリシアは振り返らず、門を出た。
 背後で閉じられた鉄の扉の音は、彼女の人生に静かに終止符を打った。
 太陽光を吸い込んだような艶やかなプラチナブロンドに、透き通るようなピンクルビーの瞳。

 生まれた時から「天使のようだ」と愛されてきた人生。
 本来、パトリス王太子の婚約者は彼と同じ歳のラリサ・モンド公爵令嬢になるはずだった。

 それでも、『初恋なんだ』と強く望まれ、エリシアはパトリスの婚約者となった。
 寄り添う二人は理想のカップルだと囁かれ、祝福の言葉に包まれた。

 未来は疑いようもなく、輝いていた。

 ――あの日までは。

 エリシアが侯爵家を追い出されてから十年。

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