醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 人が近づくことを恐れる魔獣の森の奥深く。
 朽ちかけた小屋の中で、エリシアはひとり、草を食みながら生きていた。
 魔獣たちは言葉を話さないが、裏切らない。

 人よりも、ずっと優しかった。

 ある夜。
 体の奥底から、熱が湧き上がった。
 眩い光が視界を覆い、焼け付くような感覚が全身を駆け巡る。

 悲鳴すら出せないまま、エリシアは地に崩れ落ちた。

 やがて、熱は嘘のように引いていった。

「長く、嫌な夢を見ていた気がする」
 恐る恐る頬に触れる。

 そこにあったのは、柔らかな肌の感触。
 小屋を出ると、昨夜まで寄り添って眠っていた魔獣たちの姿はなかった。
 森は、静まり返っている。
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