醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

6.聖女

「秘密です」
「そんな秘密主義で、よく疑い深いユーイン国王やパトリス王太子の信頼を得たわね」

 エリシアの問い掛けにブレイクは、肩をすくめるように微笑んだ。

「彼らの好物を、知っているだけですよ」
 ――従順で、便利で、手柄を差し出す人間。

 エリシアには、その意味が痛いほど分かった。

「あんなクズどもに跪くくらいなら、死んだ方がマシよ」

 吐き捨てるように言うと、ブレイクは少しだけ声を落とした。

「聖女エリシア、貴女が死ねば彼らはその死すら利用します。いいんですか? このままで」
 囁くような声が、甘く絡みつく。
 頭の奥がじわりと溶け、思考が鈍くなる。

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