醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
(危ない。この男は何か術でも使ってる? 心を持ってかれて操られそうで怖い)

 エリシアは、即座に視線を逸らした。

「ブレイク、貴方はこのままで終わる気はないんでしょうね。でも、私には関係ないわ」
 冷たく突き放すと、ブレイクは何も言わず、ただ意味深に微笑んだ。

 レジル地方は、想像以上に惨憺たる有り様だった。
 村に近づくにつれ、空気は重く澱み腐臭が漂う。

 家々は荒れ、窓は板で打ち付けられ道端には人影すらまばら。

「酷いわ。貧しい土地とは聞いてたけど、病魔のせいで民の心が荒んだの? まるで地獄じゃない」
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