醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「聖女様。元々身も心も荒んでた人間が見捨てられたと感じ、より腐敗してるだけです。この程度の事で絶望しないでください」

 ショックを受けるエリシアを前に淡々としているブレイク。

 感染症が広がっているにもかかわらず、この地を治める男爵はすでに病に倒れ、王都からの支援もない。
 責任を取る者は誰一人おらず、人々は見捨てられていた。

 呻き声が、どこからともなく聞こえる。
 エリシアは、強く唇を噛み締めた。

(ここが、私の最初の“仕事”)
 エリシアの胸の奥で何かが静かに目を覚まし始めていた。

 レジル地方の空気は、常に湿り気を帯びていた。

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