醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 ブレイクは、そっとエリシアの頬に触れ強引でもなく逃げ場を塞ぐように視線を合わせてきた。

(温かい。気持ちが良い温もり⋯⋯)

 頬に伝わる指先のぬくもりが、恐怖とは違う感覚を呼び起こす。
(どうして安心してるの? 私⋯⋯)

「海賊の狙いは人間です。弱っているところを掻っ攫って、売り捌くつもりでしょう。もしかしたら、ここに“ピンクルビー”があると知られて来たのかもしれませんね」
 ブレイクの低く、淡々とした声。

 人が、売られる。
 その言葉が、胸を強く締め付けた。

 エリシアは弾かれたように身を離し、外へ駆け出す。
 今、この地には指導者がいない。

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