醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 だからこそ、自分が動かなければならない。
(皆を、守らなければいけないわ!)

 港へ向かって走ると、潮の匂いと焦げた木の匂いが混ざった空気が鼻を刺した。
 すでに海賊船は岸に寄せられ、屈強な男たちが陸へ降り立とうとしている。

 武器の金属音と、荒々しい笑い声が響いていた。

「皆さん、こちらに!」
 エリシアが避難を促そうとした、その時。

「賊の方!」
 初日に治療したカーラが、目を輝かせてエリシアの手首を掴んだ。
 その力は、驚くほど強い。

 彼女はぐっとエリシアの手を持ち上げ、まるで誇らしげに掲げる。
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