醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「聖女エリシア、お前は俺の判断を狂わせる。十年辛い目に遭ったかもしれないが、これからは聖女で王妃だ。完璧な人生が待っている。なんで身を投げるような事をするんだ? 理解できない」
 その言葉に、エリシアは微かに笑った。

「ねえ。大帝国の第三王子の人生って、完璧?」
 エリシアは、火を挟んだ向こう側に座るセドリックを見つめた。

 押し黙るセドリックにエリシアはたたみかける。
「スパイとして他国の王族に頭を下げて。今はこんな孤島で食べるものにも困ってる。今、セドリックは完璧に幸せだって言えるの?」
 事実をなぞるような、冷たい問いにセドリックは唇を噛んだ。

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