醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「聖女の力は与えられたら、減ることはない。帝国では、過去の聖女の記録を徹底的に研究している。権力に溺れた者、男に狂った者、虐殺を始めて命を弄んだ者⋯⋯決して褒められる生き方をしなくても聖女の力は衰えなかった」
 夜風が、焚き火を揺らす。

 セドリックの言葉にエリシアの背筋に、冷たいものが走った。
(聖女が、虐殺?)

 清い心を持つ者に与えられるのが、聖女の力だと信じられている。
 それを持つ者が、人を殺し弄んだり欲の限りを尽くしても力は失わない。

 聖女の力を持つ者の悲劇的な未来がエリシアには想像できた。

 利用され続ける恐怖、奪われ続ける人生。
(もしかしたら、私もいつか⋯⋯)

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